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認知症外来dementia-outpatient
認知症とは
認知症とは、認知機能が何らかの脳の障害によって持続的に低下し、日常生活や社会生活に支障を来すようになった状態を指します。
認知機能とは記憶、言語、見当識、判断力、実行機能などの脳が司る機能のことです。私たちはこれらの認知機能を使って日常生活を送っています。しかし認知症になるとこれらの機能が徐々に、あるいは急激に低下してしまいます。
認知症は主に脳の老化によって起きる現象であり、長寿社会において多く認識されるようになってきています。具体的には、65歳以上の方のおよそ3割が認知症、または認知症の予備軍である軽度認知障害とされています。
今までの薬は、認知症と診断されないと使えない飲み薬や貼り薬が主体で、認知症の予備軍(軽度認知障害)への治療手段は限られていました。しかし2024年以降は、新薬が認知症予備軍(軽度認知障害)にも保険で使用しうるようになったため、早期発見・早期治療の重要性が高まっています。
認知症の種類と治療
認知症の代表的な原因は下記の4つで、これらの病気と診断されると、法律上運転禁止となります。
アルツハイマー型認知症
アルツハイマー型認知症は、認知症の中で最も頻度が高く、半数もしくはそれ以上を占めるとのデータがあります。ただし、蓄積している病的なタンパク質には個人差があり、アミロイドβというタンパク質が蓄積している場合は「アルツハイマー病理がある」と判断します。2023年後半に保険収載された点滴薬の「レカネマブ」は、このアミロイドβ蓄積を証明しなければ使用できないため、「アルツハイマー型認知症でも全例がレカネマブの治療を受けられるわけではない」ことはご承知おきください。また、無治療の高血圧や糖尿病、偏食、運動不足、ウイルス感染などで発病しやすいため、日常生活での健康管理が発病予防のために重要と考えます。認知症の中では最も研究や薬剤開発が進んでいる病気と考えられ、上述のレカネマブのほか、飲み薬の「ドネペジル」や「メマンチン」、他には貼り薬もあり、治療の選択肢は比較的豊富といえるでしょう。
血管性認知症
血管性認知症は、脳梗塞や脳出血などの脳血管障害によって引き起こされる認知症です。治療は血管を保護する薬や、高血圧、糖尿病、高脂血症、喫煙などこの病気を悪化・発症させる因子のコントロールとなります。
レビー小体型認知症
レビー小体型認知症は、脳内にレビー小体と呼ばれる異常な構造物が蓄積することで発症します。パーキンソン病と基本的には同一スペクトラム上の疾患であり、手のふるえや歩きづらさなどの動きに関する症状が出る場合があります。また、時折「心霊現象」とも認識される場合がありますが、「壁の模様が動いている」「景色が人の顔に見える」「死んだ妻が赤い服を着て夜中に会いに来た」など、視覚の異常や幻覚妄想をきたす場合があります。向精神薬が効きすぎる場合もあり、治療に難渋する場合も少なくありません。
前頭側頭型認知症
前頭側頭型認知症は、脳の前頭葉や側頭葉が主体に神経障害が起き、萎縮することで発症します。確立された治療法は残念ながら2024年開業時点でありません。症状には感情を制御できない、こだわりが強くなるなどがあり、その場合は向精神薬などを処方する場合があります。
これらの他、脳腫瘍や、脳の周りに血液や水分が溜まり脳が正常に機能しなくなる「慢性硬膜下血腫」「正常圧水頭症」でも認知症を発症する場合があり、これらは脳神経外科の診察を原則必要とします。手術にて症状が改善する場合もあります。
また、胃腸の病気でビタミンの吸収が悪くなったり、甲状腺などのホルモンが欠乏することによっても、脳の働きが低下して認知症となる場合があります。これらは内科的治療で改善できる可能性もあり、見逃すべきではない原因と医学的に認識されています。そのため、患者さんの病態を正確に評価し、正確な診断を心がける必要があると考えます。
認知症の症状
認知症の症状は原因となる病気や脳の障害部位によって異なりますが、一般的な特徴としては以下のようなものがあります。
- 新しい情報を覚えられない
- 物をなくす
- 今日の日付がわからなくなる
- 道に迷う
- 言葉が出てこないことがある
- 薬やお金の管理ができなくなる
- 人の話を理解できなくなった
(聞き返しが多くなる場合もあり) - 計画を立てて実行することが難しくなった
(料理の手順や仕事に不備があるなど) - 状況に適した判断ができなくなった
- 幻覚、妄想、見え方の異常
- 性格が変わり、イライラしたりやる気が出ないことが増えた など
これらの症状は、一般的には月単位の経過で徐々に進行することが多いですが、原因次第では急激に発症する場合もあります。最終的には自立した生活が送れなくなることも少なくないため、治療可能な原因が隠れていないか見抜き、根治させられない病気だとしても早期から治療をして少しでも進行を遅らせることが重要となってきます。
認知症にお困りの方は当院へ
豊中市・豊中駅前のI&T胃腸と脳のクリニックでは、脳神経内科で認知症の診断・治療に対応しています。
当院では認知症の診断において頻用される30点満点の小テストも行っており、しっかり患者さんやそのご家族とコミュニケーションをとることで最適な治療方法の提案を行って参ります。
長生きとともに認知機能は悪化する傾向がありますが、診断と治療次第では、脳の状態を改善したり、軽い症状はあるものの日常生活への支障が少ない状態を長く保ったりすることができるかもしれません。
患者さんごとに状態は異なりますので、まずは見立てをさせていただきます。
認知症は患者さんご本人だけではなく、ご家族にとっても向き合い方が難しい病気です。ご家族だけで抱え込まずに、まずは一度当院へご相談ください。