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機能性ディスペプシアとは
機能性ディスペプシアは、胃や十二指腸に炎症やがんなどの異常がないにもかかわらず、胃もたれや胃痛、食欲不振などの症状が現れる病気です。検査を行っても胃や十二指腸には異常がないのに、消化器症状が起こるのが特徴です。
機能性ディスペプシアの種類
機能性ディスペプシアは、症状のパターンによって以下の2つのタイプに分類されます。
食後愁訴症候群(PDS)
食後に胃もたれや早期満腹感、胃の膨満感などの症状が現れるタイプです。食べ物を胃から腸へ送り出す胃の運動が低下していることが関係していると考えられています。
心窩部痛症候群(EPS)
みぞおちの痛みや灼熱感が主な症状として現れるタイプです。胃酸の分泌異常や、胃や十二指腸の知覚過敏が関係していると考えられています。
機能性ディスペプシアの症状
機能性ディスペプシアの主な症状は以下の通りです。
- 食後の胃もたれ
- 早期満腹感
- 胃の膨満感
- 心窩部痛
- 胸焼け
- 吐き気
- 食欲不振
など
これらの症状は、ストレスや不規則な食生活によって悪化することがあります。
機能性ディスペプシアの注意点
機能性ディスペプシアは、検査をしても目に見える異常が見つからないことや、一見するとストレスからくる不調に見えることから、今までは軽視されてきた病気の1つです。しかし以下の2つの観点から、機能性ディスペプシアには注意が必要です。
QOL(生活の質)をゆっくりと蝕む
機能性ディスペプシアの症状は、実際に病気になっている患者さんにとっては、とても辛いものです。学生であれば勉強、社会人であれば仕事にも集中できなくなりますし、すぐに満腹になってしまうため、十分な栄養が摂れず、心身ともに活力が失われてしまう恐れがあります。
うつ病などの精神疾患を合併する
また機能性ディスペプシアは、きちんと医療機関にかかって治療を受けていてもすぐには治りません。半数近くの方は改善したり、悪くなったりを繰り返します。
こうした治療の長期化が精神に負担をかけ、結果としてうつ病などを合併する方も少なくありません。精神疾患を合併した機能性ディスペプシアの患者さんは、そうでない患者さんよりも痛みや不快感を感じやすくなりますが、それらがさらなるストレスとなり、悪循環に陥るケースもあります。
「気のせい」と軽視せず、早めのご相談を
周囲から見れば単なる「気のせい」に思える症状でも、患者さんご自身はとても辛い思いをされているのが機能性ディスペプシアという病気です。
豊中市・豊中駅前のI&T胃腸と脳のクリニックでは、軽視されがちな機能性ディスペプシアの患者さんに真摯に向き合い、その方が納得ができる診療を心がけています。
上記のような症状でお悩みの方は、ご自身の判断で我慢をするのではなく、早い段階で当院までご相談ください。
機能性ディスペプシアの原因
機能性ディスペプシアの正確な原因はまだ完全にはわかっていませんが、以下のような要因が単独で、あるいは複数組み合わさって症状を引き起こしていると考えられています。
しかし個々の患者さんにおける原因の特定は難しいことが多く、症状に応じた治療が中心となります。
胃の運動障害
食べ物を胃から腸へ送り出す胃の運動が上手く働かないことが、胃もたれや早期満腹感などの症状に繋がると考えられています。胃の運動を司る神経や筋肉の異常が関係している可能性があります。
胃・十二指腸の知覚過敏
胃や十二指腸の感覚が敏感になっていることが、みぞおちの痛みや胸焼けなどの症状に繋がると考えられています。通常は問題にならない程度の刺激でも、強い不快感を感じてしまうのです。
強いストレス
心理的ストレスが強いと、自律神経系を通じて胃腸の運動や感覚に影響を与えて、症状を悪化させることがあります。ストレスへの対処能力の個人差も関係していると考えられています。
生活習慣
不規則な食生活、過度の飲酒、喫煙などの生活習慣が胃腸の機能に悪影響を与えて、機能性ディスペプシアの症状を引き起こしたり、悪化させたりすることがあります。
胃酸
胃酸の分泌が過剰だったり、胃酸に対する胃や十二指腸の感受性が高まっていたりすることがみぞおちの痛みや胸焼けなどの症状に繋がると考えられています。ただし、胃酸が関与しているかどうかは患者さんによって異なります。
ヘリコバクター・ピロリ菌への感染
胃炎や胃潰瘍の原因となるヘリコバクター・ピロリ菌に感染していることが、一部の機能性ディスペプシア患者さんの症状に関係していることが報告されています。ただし、感染者の多くは無症状であり、因果関係は明確ではありません。
機能性ディスペプシアの診断
機能性ディスペプシアの診断は、まず問診にて症状の詳細を確認します。次に内視鏡検査を行い、胃がんや胃・十二指腸潰瘍などの器質的疾患がないかを調べます。さらに血液検査や腹部エコー検査などを行い、他の疾患の可能性を排除します。これらの検査で異常が見つからない場合、機能性ディスペプシアと診断されます。
機能性ディスペプシアは、症状があるにもかかわらず、検査結果に異常が見られないため、周囲から理解されにくいことが多いです。しかし適切な診断と治療を受けることで、症状の改善が期待できます。医師と相談しながら、適切な治療方法を見つけることが大事です。
機能性ディスペプシアの治療方法
機能性ディスペプシアの治療は、症状を和らげ、日常生活の質を改善することを目的として行われます。
生活習慣の改善
- ストレス管理(リラクゼーション技法、カウンセリングなど)
- 規則正しい食生活(適量の食事、よく噛んで食べる、食後は横にならないなど)
- 適度な運動
など
薬物療法
- 胃の運動を改善する薬(消化管運動機能改善薬)
- 胃酸の分泌を抑える薬(制酸薬、H2受容体拮抗薬、プロトンポンプ阻害薬)
- みぞおちの痛みを和らげる薬(鎮痛薬)
- 抗不安薬(ストレスが関係している場合)
など
ヘリコバクター・ピロリ菌の除菌
ヘリコバクター・ピロリ菌の感染が確認された場合、除菌療法が行われることがあります。