
全国で2~3割、もしくはそれ以上の方が、片頭痛や緊張型頭痛といった慢性的な頭痛に悩まされている可能性があり、頭痛は現代社会において解決すべき大きな問題となっています。新しい薬も開発され、最近は「頭痛外来」を標榜する医療機関も多く、頭痛に悩む方が気軽に受診されやすい環境になってきていると思います。
当院でも頭痛外来を開設するにあたって、自身は頭痛をお持ちの患者さんとどのように向き合うべきか、考えました。基本的に専門的な外来では、標的とする病気「だけ」に集中して診療することが多いと思われます。その方が時間を有効活用できますし、経験を蓄積することで高度な医療を提供できると思います。実際に、専門的な検査、重症度評価のための問診、専門的な投薬の説明、などしていると、時間がかなりタイトになると思います。

一方、自分の医師としての価値観は「脳神経内科医として、神経領域の病気をお持ちの患者さんの全身を診られる範囲で極力診る」であり、当院以外の勤務施設では「総合内科・脳神経内科」として診療しています。例えば脳の病気でかかりつけの方で、お腹が痛い、咳が出るなど専門外の症状でも、まずは医師として最低限の対応はしたいと思っており、当クリニックに入職したのも、院長の理念「お腹の中から全身を診る」に共感したことが理由の一つです。
そして、実際に頭痛持ちの患者さんで、脳以外の原因で頭痛が誘発されていることをしばしば経験しています。例えば、夜中に咳が出てうまく眠れず、翌朝に頭が重たい感じがする。胃がムカムカしてうまく飲食ができず、頭も痛くなってきた。寒さや塩分の摂りすぎで急に血圧が高くなり、頭が痛くてふらふらする。仕事や育児の負担が忙しく、頭痛がひどいが市販薬を何度も飲んで頑張っている。こういった患者さんが来られることは多いですし、全て飲み薬や点滴で改善しうる病状です。

そのため、当院の頭痛外来では完全予約制としてできる限りの時間をお取りし、時間はかかりますが頭痛「だけ」ではなく、背後に隠れていることがある全身の病状を突き止め、頭痛「も含めて診る」外来にしてゆきたいと考えております。そのためあまり診察枠は多くありませんが、頭痛にお困りの方や、頭痛以外にも気になる症状がある方は、一度受診いただければできる限りのことはさせていただきます。よろしくお願いいたします。